的伍題11〜20

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喪失<僕>

 そして震えは止まることなく

 記憶に残るはあなただけ

 どうして置いていってしまったのですかどうして連れていってくれなかったのですかどうしてどうして どうして

 いつかはあなたのことで涙することがなくなる日がくるのかなだとしたらそれはいつになるのだろう

 僕という存在があなたで構成されていることを思い知らされる日がくるだなんて

喪失<あなた>

 そして涙を流すあなたを

 その震えを止めてあげたいけどそんな術を持っている筈もなく

 ねえその視線の先にはもう誰もいないんですだからお願いだか ら

 悲しみに暮れるあなたを抱きしめてあげたくてもそれすらできないなんて非力な

 いつしかあなたは僕の目の前からいなくなりそしてそこには朱い紅い雫が雫だけが 遺されて

雨の情景

 差し出された傘は受け取らない

 この一滴(ひとしずく)は 一体 何処からきて 何処へとゆくの

 水たまりのダンス

 雨音に耳を傾けるあなたが とても儚く感じた

 そして 二人揃って濡れねずみ

俺とあなたのMとS

 「愛している」と 何度言っても
 きっとあなたには届かない
 あなたが手に入れたがっているのは
 ただの俺のカラダだけ

 泣いて「止めて」と懇願したって
 あなたは赦してくれないのだろう
 俺が苦痛に喘ぐ姿を
 あなたは微笑(わら)って見ているだけ

 目には目隠し
 口には猿轡
 両の手足は縛られて
 俺は耳と皮膚との感覚だけを
 あなたに弄ばれている

 あなたの遊びが終わった後の
 傷ついた俺にだけあなたは優しい
 あなたのその優しさが欲しくて
 あなたの行為を拒否できない

 氷のように冷たい瞳で
 俺を見つめる 始まりの合図
 いつからだろう 嫌だった筈の
 あなたの行為を望んでいる

無肆

 答えのない問い掛け

 救いのない赦し

 罰のない罪

 真実のない感情

 言葉のない嘘

無参

 心のない人

 色のない視界

 気持ちのない言葉

 失うもののない人生

 得るもののない選択

無弐

 音のない空間

 時間のない世界

 果てのない道

 灯りのない部屋

 温度のない君

 終わりのない夢

 始まりのない旅

 記憶のない未来

 歴史のない過去

 今のない僕

なぞる

 背骨のラインを指先で辿って 背骨の凹凸に触れる
 瞬間に 瞬間に 甘く痺れるような電気が身体中を駆け巡り
 思わず その白く滑らかな背中に 口付けを落としたくなる

 滑らかな指触りに 親指で輪郭を確かめる
 其処に触れることを 赦されてはいないけれど
 貴方の意識のないうちに 下唇のラインを辿ることだけでも   どうか

 左手の薬指に残る指輪の痕を 何度も何度も指先で確かめる
 赤い紅い朱いリングの型 背徳の証

 固く閉じられた瞼を 指先でゆっくり 目頭から目尻へと辿って
 そしてそこから 涙の痕を 下へ下へと
 一体 誰を想って 涙したのか

 滴り落ちる 真紅の血を 一滴一滴舐めとって
 白く滑らかな肌の上を流れる 血のラインを舌先で辿っていく
 辿りついた先の傷口を 舌先で 何度も何度もなぞれば 貴方の顔が苦痛に歪む
 でも やめない   やめれない
 貴方の血が 枯れるまで 永遠に エイエンニ

触・熱・侵

 指先と指先が触れ合って 熱を持つ 熱い あつい アツイ
 熱くて脳が溶けてしまいそうだ

 おでことおでこを合わせる
 コツン と 軽い音がして 貴方の熱が伝わってくる
 顔が朱いのは 熱の所為なんかじゃあない

 指を絡めて 手の平をくっつける
 こうすれば 貴方の体温で 寒くない 冷たくない
 恥ずかしくても 離さないよ ずっと ずっと   ずっと

 唇の 1o手前 あと少し
 あと少しのこの距離が 近くて 遠い
 今はただ 貴方の吐息の熱だけで いい

 全身全霊の力を込めて貴方を抱きしめる
 服も 皮膚も 空気ですら 貴方との間にはあって欲しくない
 貴方の熱があれば それでいい

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